Special 「地域食堂立ち上げ秘話」

あいのわ福祉会が
今まで培った地域との繋がりをテーマに
対談させていただきました
綾瀬あかしあ園では、地域の方々と一緒に食事や交流を楽しむ「あやせもりのひろば 子ども〜大人の地域食堂」を開催しています。地域の団体と協力して運営を行い、現在では毎月大勢の地域の方に参加していただけるようになりました。そんな地域食堂を立ち上げた地域の方とのつながりストーリーを語ります。
立ち上げメンバー
ふれあいサロン
「むつみ会」代表
岡田 スミ子さん
地域の高齢者が集う場所を提供するサロン「むつみ会」を運営。いざというときに近所で助け合える地域社会の構築を目指す。
あいのわ福祉会
綾瀬あかしあ園 施設長
金井 弘文
施設長就任当初から地域の人たちとの交流の場づくりに取り組む。地域食堂の他に、屋上菜園やカフェ「ふぉらん」の運営を先導。
あいのわ福祉会
常務理事
酒井 紀幸
常務理事として地域食堂の取り組みを見守る。自身が地域貢献事業の連絡会役員も務めており、法人全体の地域貢献活動を統括している。
地域の団体が手を
取り合って
始まった地域食堂
「あやせもりのひろば 子ども〜大人の地域食堂」(以下地域食堂)を立ち上げた経緯を教えてください。
金井
2016年度から、綾瀬あかしあ園でカフェ「ふぉらん」をオープンしたのですが、同時にカフェスペースの半分を地域の方々に無料で貸し出す事業を始めました。そこで出会ったのが岡田さんたちのふれあいサロンでした。
岡田
最初はここに施設があることを知らなくてね。チラシかなにかを見たのかしら。むつみ会の集まりでスペースを使わせてもらうようになったんです。私たちは、地域の高齢者が交流できるようなイベントや場所づくりを進めてきた団体なので、ぜひ一緒になにかやりたいですね、というお話をして、施設の方と地域の高齢者が触れ合えるクリスマス会をやることになったのよね。
金井
はい。むつみ会経由でデイサービスや子育てサロンなどを運営されているNPO法人の「ぷらちなくらぶ」にも紹介していただいて。そのクリスマス会のあとに、「ここで子ども食堂をやろうと思うんです」と岡田さんに相談したところ、「実は私たちもやりたいと思っていたの」とおっしゃられて、ぷらちなくらぶの方にもお話したら「実はうちも」と。
酒井
その話を金井さんから聞いたときには、当法人内でもこれまで以上に地域における公益的活動を促進するために基本方針を定め、地域に貢献できるような取り組みをしていこうとしていた頃でしたので、ぜひ進めてほしい、と依頼しました。
地域の協力を
得ながら、
2年の
準備期間を経て開催
立ち上げまでにはどんなご苦労があったのでしょう?
金井
初めてのことばかりで、ようやく開催することができたのが、平成30年の3月でした。それまでの期間は、岡田さんと一緒に各地の子ども食堂を視察して回ったり、足立区社会福祉協議会に話を聞きに行ったり。
岡田
私は顔は広いからいろいろな人たちにご紹介できたけれど、事務的なことは苦手だから全部お任せしてしまって、金井さんが一番大変だったと思うわ(笑)。
金井
そんなことはないですけど(笑)。一番大変だったのは食材をどう調達するか、というところですかね。足立区社会福祉協議会からNPO活動支援センターを紹介していただいて、市場などで余った食材や寄付してくださる食材を譲っていただくシステムを利用して、確保できるようになりました。他にも保健所の申請や小学校へのご案内など、皆さんの協力を得なければ立ち上げることができなかったのではないかと思います。
酒井
法人としてできる領域とそうでない領域がありますから。予算もありますし。お店のしつらえをDIYで手づくりしてくれるなど、金井さんはよくやってくれたと思います。
金井
DIYは自分の楽しみでもありますが(笑)、利用者や職員の皆さんにも協力してもらうことで、新たな仕事を経験する機会にもなりますし、楽しんで仕事をする姿勢を知ってもらえたらいいな、と思っています。
地域のさまざまな人たちが集う憩いの場へ
よく知られている「子ども食堂」という名前にしなかったのはなぜですか?
金井
当初は放課後に子どもたちが夕飯を食べに来る子ども食堂を開きたいと考えていたのですが、岡田さんから、もっと地域の人たちがみんなで集まれる場所、地域食堂みたいな形がいいよね、という提案をいただいて、それで「地域食堂」という名称にしたんです。
岡田
そうなの。子どもたちだけじゃなくて、普段忙しくて子どもの相手ができないお父さんお母さんとか、ひとり暮らしの高齢者の方とか、あいのわ福祉会の施設を利用されている利用者の方とか、みんなが集まれるほうがいいと思ったんです。
金井
おかげで子どもたちだけではなくて、地域のさまざまな方が参加してくださって、1回では人が入りきらないから、1日2回開催するようになりました。子どもたちが料理ができる前に集まって勉強していたり、最初の頃は妊婦だった方が、今は子どもづれで来てくださって、その子をここで知り合った高齢者の方があやしてくれたり。
酒井
地域の皆さんのおかげで、とても素敵な場所になったと思います。興味を持ってくれる職員も多く、毎回お手伝いに手をあげてくれる人が大勢います。法人内でも、みんながここで学んだことをきっかけに、また新しい展開を生み出してくれるのではないかと期待しています。
つぎつぎと生まれる
新しい「わ」
この取り組みを通してどんな成果がありましたか?また今後はどんな運営を目指す予定でしょうか?
金井
副次的な成果として、準備を進めるなかで、いろいろな方とネットワークがつくれたことがあげられると思います。私たちとむつみ会、すまいるぷらちな、近隣の福祉事業所「綾瀬ひまわり園」と「綾瀬なないろ園」の5団体で運営していますが、それ以外にも、町会長の集まりでお話したところ小学校にチラシを配らせていただけるようになったり、絵本の読み聞かせボランティア団体の方が絵本を寄付してくださったり、自治体の方がボランティアに来てくださったり。どんどん輪がつながっているのを感じます。
岡田
その輪をもっともっと広げていきたいわよね。高校や大学に通う若い子たちにも参加してほしいし、参加してくれた人たちには、ここで生まれた関係性を別の場所で生かしてほしい。ここを拠点とした街づくりを目指したいです。
金井
まずは地域に根づくこと。そして末長く続けられるように仕組みをつくること。そのうえで、地域にお住いの高齢者の方がここに来て楽しんでくださったり、お子さんが障がいのある人と触れ合う経験を持つことで偏見を持たずに育ってくれたり、そんなふうに地域に貢献できれば嬉しいです。
酒井
今後は利用者の方がもっと参加しやすい形を検討しています。皆さんに、地域食堂への参加やカフェ「ふぉらん」での仕事を通して、将来につながる経験を積んでもらえたら嬉しいですね。
for the future

地域食堂特設ページ