法人化への道

社会福祉法人 あいのわ福祉会

理事長 岸本 美惠子

(足立区肢体不自由児者父母の会 40周年記念誌より)

1999年(平成11年)


平成元年、父母の会の「30周年記念誌」発刊に当って、昭和30年代、初代会長であった松田氏にお会いしました。


一 軒、一軒をたずね廻って、会員を募った話や、草創期の数々の御苦労をお聞きし、当時の時代背景を考えた時、諸先輩の足跡に敬服するばかりでした。私も微力 ながら会員の皆様と一緒に、その時々の切実な願いを基本に、活動を進めて参りましたが、福祉八法の改正による福祉の流れの変革によって、地域の中で、施設 の果す役割はますます重要なものになりました。

年々増加する養護学校の卒業生や重度重複化、公立の期限満了後の受け入れ、又親の高齢化、職員の身分保障問題等を考えた時、公設民営の形で、この先も、障害児者を抱えた親が背負って行って良いのだろうか……と考えるようになり、限界を感じはじめてきました。


会員特に父親の中からも何とかしなければという声が上り、討議を重ねた結果、社会的にも信頼のある施設に向けて、法人化の道を選択することを提案することになりました。

平 成2年5月の定期総会の承認を得て、法人化検討委員会が発足し、「一体、社会福祉法人とは…」から始り「足立区の福祉行政の現状と将来について」「あかし あの家の現況と今後について」等、テーマを決めて検討し、各方面の法人施設の見学を通して、設立までの経緯等を伺いました。


平 成3年総会では、推進委員会を切り替えて、会員の望む事業や、通所者の構成等のアンケートや、法人のメリット、デメリット等も含めて、何度も繰り返して会 員説明会を行いました。その間、足立区にも、法人化について相談させていただき、自分達も出来る限りの資金作りや準備に力を注ぐことで、御支援を要請致し ました。

この頃、父母の会の施設運営も、通所訓練施設「青井あかしあの家」と「梅島あかしあの家」通所作業施設「楓作業所」プログラマー養成事業(東京コロニー情報処理センター委託)の「足立ソフトウェアシステム」(2ヵ所)になり、区助成金も、大変大きな額になっていました。


平成2年には、足立区福祉総合計画が策定され、施設の体系的整備が進められていた中、当時の区長、区議会、福祉部長、障害福祉課長さんをはじめ、多くの関係者の深い御理解をいただき、進めることが承認されました。


平 成4年総会では、準備委員会発足に向けて決議し、準備委員会委員長には、日頃から会を御支援下さっていた下田巧氏、準備の顧門として永倉春男氏をお迎えし て、膨大な資料作りが開始されました。色々と試行錯誤しながら一歩一歩進める中、待ちに待った土地が具体化し、東京都へも法人設立の意思表示をするところ までこぎつけました。


10年に亘る施設運営を通して、足立区との良きパートナーとして、信頼関係を築くこ とが出来、区が支援して下さる事業ということで、東京都のゴーサインにつながったと思います。事務的作業を進めながら、もう一つの大事な柱である自己資金 目標達成の為、様々な捻出方法を試みました。毎年の定例バザーで積立は少しありましたが、加えて、建設支援テレホンカードの作成販売、洗剤、肌着、手作り 品等の自主製品の販売、ボランティアグループあじさいさんの御好意で、毎月西新井大師で行われているリサイクルバザーに、御一緒させていただいたり、北千 住、西新井、綾瀬、竹の塚駅での街頭募金。1期から3期までの会員の基金積立など、会員が一丸となって東奔西走した日々が続きました。又、町会や商店街の 方々や、NTT足立支店、社会福祉協議会のお力添え等、活動に賛同して下さった輪が広がり、大きな励みになりました。

し かし、進めて行く中で、全く問題がなかった訳ではありません。「決断が時期尚早ではなかったのか…」「もっと時間をかけて討議したら…」等、一瞬とまどい ましたが、一度決断して走り出した以上、溜まったり、後もどりは許されません。只、前に進めることだけを考えました。作業部会として、建築部、運営部、資 金部、広報部、後援部を組織して分担作業が始まりました。


法人の名称は、父母の会が障害が重くても在宅者 を出さないという強い願いと、運動の成果から生まれ、施設の充実と発展を願って創設したことを、引き継いで行ってほしいという思いを込めて、「足立肢体不 自由者福祉会」とし、施設名は、地元の方々に親しまれ愛されているあかしあの家と同じ仲間の施設として、引き続き可愛がっていただきたいという願いから 「足立あかしあ園」に決定しました。9月1日、法人化を決意してから4年半の歳月を経て、ようやく開所の日を迎えました。本当にこの日が迎えられるのだろ うかと、不安と期待の日々でしたが、通園者の笑顔に緊張がほぐれ、御支援下さったすべての方々に心から感謝したい気持で一杯になりました。


法人創設の原点は、障害を持つ人の在宅者を出さないという強い願いです。これからもこの理念を貫き、障害者自身及び家族の様々な願いが、法人を核として展開され、地域福祉の充実が計れるよう努力すると共に、それを支えていく為にも、益々の父母の会の発展を願っています。

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